現代農業において、必ずと言っていい程必要になってくるのが「農業用機械」です。現在では、最新技術が導入された農業用機械が、様々なメーカーで販売されています。
しかし、近年では半導体などを初めとした「部品の不足」や「工場稼働率の低下」により、機械類は値段が高騰している傾向にあります。その背景には、諸外国の紛争や新型コロナウイルス等の影響があります。回りまわって農業業界へも「値上げ」という形で影響が出てきています
そんな状況の中でも機械は農家の皆さんにとって無くてはならない存在です。しかし現在では、農家の多くが高齢化しており、経済的に苦しく機械の購入も厳しいという農家が少なくありません。そこで今回は、機械を購入する際に活用できる「補助金」についてご紹介していきます。
目次
農業機械の買い替えについて
現代の農業は、「機械を使い作物を生産して収穫する」という一連の流れが当たり前に行われています。そのため、どの農家も必ずと言っていい程トラクター等の農業用機械を持っています。
しかしこの農業用機械、当然のことながら長い期間使うとどこかしら故障やトラブルが出てきます。エンジン等の機械の心臓部分が故障してしまった場合は、最悪の場合すぐに買い替えなくてはいけません。機械の購入には多額の資金が必要になってくるため、その様な場合は「補助金」を利用することをおすすめします。
補助金とは、条件を満たしたうえで応募し、採択されれば国や都道府県からお金が貰える仕組みのことです。補助金にもいくつか種類があり、それぞれ応募条件が異なります。また、補助金がおりる対象になる機械も異なるので、いくつかご紹介します。
補助金の対象となる農業機械
現在、農業用機械の購入に活用できる補助金はいくつかあります。それぞれの補助金で対象となる農業機械は異なりますが、ここでは対象となる主な機械をご紹介いたします。
【主な対象機械】
①トラクター
②田植え機
③コンバイン
④無人ヘリコプター
⑤ドローン
⑥レーザー式均平作業機
⑦栽培管理ビークル
⑧水稲播種機
⑨牧草播種機
⑩ブルドーザー
⑪ポテトハーベスタ
⑫ベッドフォーマ 等
上記に記載されている農業用機械以外にも、様々な農業機械が補助金対象となっています。作目毎に利用する農業用機械が異なるため、一概に補助金対象機械をまとめることはなかなか難しいようです。そのため、上記に記載されていない農業用機械でも補助金対象になる可能性があります。
また、都道府県によって対象となる機械が若干違うこともありますので注意が必要です。
補助金の種類と条件
では、実際どのような補助金があるのでしょうか。今回は4つの補助金について紹介します。
【補助金の種類と申請方法・申請期間】
①農地利用効率化等支援交付金
(参考サイト:農林水産省HP)
この補助金は、「土地の集約化」を目標に「生産性の向上」に重点を置いた取り組みを行う生産者に対して、必要な農業用機械等の導入を支援する補助金です。
大規模経営の法人等、今後の経営の発展と高度化を目指した取り組みに必要な農業用機械の場合等は、補助上限額が上がります。(先進的農業経営確率支援タイプ)
助成対象者
- 認定農業者
- 認定就農者
- 継続的な農地利用を図る者として市町村が認める者
助成内容
「土地の集約化」と「生産の効率化」に重点を置いた取り組みに必要な農業用機械の支援(事業費は50万円以上が条件)
上限額
- 300万円
- 1,000万円~1,500万円(先進的農業経営確率支援タイプ)
優先枠
- スマート農業優先枠(ICT機械等の導入)
- 集約型農業経営優先枠(中山間地域での農業用機械の導入)
- グリーン化優先枠(環境に配慮した取り組みに必要な農業用機械の導入)
申請方法
- 農業用機械等のカタログ、見積書(1社)
- 農地利用効率化等支援交付金個別経営体調書
- 成果目標の現状値を確認できる資料(確定申告書や決算書、雇用契約書、法人の場合は定款及び登記事項証明書等)
- 配分基準を確認できる資料及び積算根拠
地域によって申請方法は多少異なりますが、上記のような書類一式を揃えて役所(農政課等)へ行き申請の相談をします。
参考サイト:新庄市ホームページ
申請期間
2022年4月5日〜2022年4月22日
※申請期間は地域で異なりますが、令和4年度はすでに募集が終了している所が多いようです。令和5年度はこれから募集が始まりますので農林水産省HP等をご確認ください。
②担い手確保・経営強化支援事業
(参考サイト:農林水産省HP)
こちらの補助金は、農産物の「輸出」や「低コスト化」、「規模拡大」といった取り組みを行い、経営発展を目指す担い手に対して、農業用機械の導入を支援する補助金です。
燃料や肥料の高騰、労働力不足に対して経営改善していく取り組みに対して重点的に支援する補助金です。
助成対象者
- 認定農業者
- 認定就農者
- 継続的な農地利用を図る者として市町村が認める者
- 他金融機関等からの融資を活用している者
助成内容
- 輸出等の取り組みによって経営発展に意欲的な担い手に対して、融資を活用して機械を購入する際に助成金を交付
- 融資の円滑化のために農業信用基金協会の金融機関への債務保証を支援
上限額
- 個人:1,500万円
- 法人:3,000万円
- 市町村が認める者:100万円
優先枠
- スマート農業優先枠 (農業用機械の自動操舵、無人航空機、水田センサー、自動収穫期、牛個体管理システム)
- 省エネ農業等優先枠(化石燃料使用料の15%~20%削減を図る農業用機械)
申請方法
- 補助金申請書
- 成果目標 等
地域によって申請方法は多少異なりますが、上記のような書類一式を揃えて役所(農政課等)へ行き申請の相談をします。
参考サイト:山形県HP
申請期間
2022年11月8日~2022年12月13日
※申請期間は地域で異なりますが、令和4年度はすでに募集が終了している所が多いようです。令和5年度はこれから募集が始まりますので農林水産省HP等をご確認ください。
③経営継承・発展等支援事業
(参考サイト:一般社団法人 全国農業会議所HP)
この補助金は、地域の中心経営体等の後継者が、事業承継後の計画を作成して取り組む場合に必要となる経費を、市町村と一体になって支援する補助金です。
助成対象者
- 先代事業者から事業を受け継ぐ後継者(先代事業者との関係は問わないので第三者でも可)
助成内容
事業を受け継ぐ後継者が後継後の事業計画を作成し、経営発展を目指した取り組みに対して市町村一体となって支援
上限額
100万円
優先枠
(国と市町村が必要経費の1/2ずつ支援)
この補助金は優先枠がありません
申請方法
- 事業承継の事業計画(経営発展計画)を記載して、各地域の申請窓口で申請相談
参考サイト:一般社団法人 全国農業会議所HP
申請期間
2022年6月10日~2022年7月29日
※申請期間は地域で異なりますが、令和4年度はすでに募集が終了している所が多いようです。令和5年度はこれから募集が始まりますので農林水産省HP等をご確認ください。
④経営発展支援事業(新規就農者育成総合対策)
(参考サイト:農林水産省HP)
この補助金は、「新規就農者育成総合対策」の施策の一つで、就農後の経営発展に対して支援する補助金です。新規参入者や親元就農者を主な対象としています。
助成対象者
- 認定新規就農者(就農時49歳以下)
※新規参入者、親の経営に従事してから5年以内に継承した者
助成内容
就農後の経営発展のために機械購入をする際、県が支援する場合に「県支援分の2倍」支援
上限額
1,000万円(新たに経営を始める者に対しては500万円)
優先枠
この補助金は優先枠がありません
申請方法
- 青年等就農計画認定申請関係書類
- 経営発展支援事業申請追加資料
- 購入機械の見積(複数社)
- 収支計画
- 履歴書
- 就農直前の離職や卒業を証明する書類(離職票、卒業証書)
- 住民票 等
(参考サイト:松山市HP)
申請期間
令和5年度受付中(地域によって異なるのでお住まいの地域の役所へ確認してください)
4.【近年の補助金の傾向】採択されやすい取り組み事例
今回ご紹介した4つの補助金は、どれも農業用機械購入の際に活用することができます。申請する際は書類の準備等大変ですが、無事採択されれば機械が導入しやすくなり、今後の農業経営の発展も期待できます。
今回ご紹介した補助金以外にも、現代公表されている農業関連の補助金にはいくつか共通点があります。国は、現在の農業業界の状況を吟味し、課題を改善していけるような重点的施策がとられているのでしょう。以下に近年の補助金の傾向をまとめてみましたので、参考にしてみてください。
①輸出事業
現在、日本国内の人口は減少傾向にあります。そのため、日本国民が食べ物を食べる消費量も減少しています。その結果、農家が作った作物や野菜が売れなかったり、値段が低いという状態になっています。そのような状態を打破するべく、政府は国外へ販路を見出す取り組みを支援する傾向にあります。
②土地の集約化と生産性の向上
現在の農業の一番の課題は、農業者の平均年齢の高齢化です。農業を行っている方々の年齢が高いため、これから離農を考えていく農家が増えてきます。離農する農家が一度に多くいると、引き受ける農業者が全ての土地を請け負いきれないため耕作放棄地が出てきてしまいます。そうならないためにも、政府は土地の集約化と生産性の向上に取り組もうとする生産者を支援する傾向にあります。
③低コスト化の実践
現代では、様々な事情が重なって資材や燃料が高騰しています。そんな中でも、コスト削減に重点をおいて経営発展を目指し、取り組もうとする生産者に対して援助する傾向にあります。具体的には、資材の見直し、人件費や労務費の見直し、作業工程の見直しによる燃料費の削減などです。
④スマート農業の実践
現代の農業では、「ドローン」や「AIによる自動選別機」のような最新技術が搭載された農業用機械がたくさん販売されています。国はそのような最先端技術を取り入れ、今後の事業を計画している生産者を支援する傾向にあります。
⑤新規参入、新規就農者への支援は手厚く
現在の農業の課題は、「農業者平均年齢の高齢化」と「後継者不足」です。そのような課題がある背景から、国は新規参入者や新規就農者を増やしていきたい考えです。そのため、新しく農業を始める新規参入者や新規就農者に対しては支援が手厚くなっています。
まとめ
冒頭でも述べたように、現在、資材価格の高騰や機械の部品供給の問題等が起こっており、機械の購入が難しい状態にあります。今回ご紹介したような補助金を活用することで、農業用機械の導入がしやすくなるので是非とも活用してみてください。皆さんの農業経営に少しでも役立てられれば嬉しいです。
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