農業機械の購入を検討している方にとって、クボタ、ヤンマー、イセキの3大メーカーの中からどれを選ぶべきかは重要な判断です。それぞれのメーカーには独自の強みと特徴があり、用途や予算に応じて最適な選択が変わってきます。

この記事では、日本の農機具市場をリードする3社の違いについて、スペック、価格、品質、サポート体制まで詳しく解説します。

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日本農機具市場におけるシェア状況

市場シェアランキング

1位：クボタ – 約35-40%

• 国内トップシェア
• 海外展開も積極的

2位：ヤンマー – 約20-25%

• エンジン技術に強み
• 建機事業も展開

3位：イセキ（井関農機） – 約15-20%

• コストパフォーマンス重視
• 中小規模農家に人気

参考：農林水産省の「我が国と世界の農業機械をめぐる動向」

各メーカーの特徴と強み

クボタの特徴

強み

• 総合力の高さ：トラクター、田植機、コンバインすべてで高品質
• 技術革新：自動運転技術やICT農業への積極投資
• アフターサービス：全国約1,200店の販売網
• 海外展開：世界120カ国以上で事業展開

代表的なトラクターモデル

• MZ65シリーズ：65馬力、中型農場向け
• SL60シリーズ：60馬力、汎用性の高いモデル
• グランフォース：大型高馬力シリーズ

価格帯：中〜高価格帯（新車300万円〜）

ヤンマーの特徴

強み

• エンジン技術：ディーゼルエンジンの老舗メーカー
• 燃費性能：省燃費技術に優れる
• 操作性：運転しやすい設計
• デザイン：赤いボディカラーで視認性が良い

代表的なトラクターモデル

• YTシリーズ：コンパクトで使いやすい
• EGシリーズ：中型〜大型の主力モデル
• YM1610D：16馬力、小規模農家向け

価格帯：中価格帯（新車250万円〜）

イセキの特徴

強み

• コストパフォーマンス：同クラスで最も価格が安い
• 実用性：必要な機能に特化したシンプル設計
• メンテナンス性：部品交換が容易
• 地域密着：地方の中小農家に寄り添ったサービス

代表的なトラクターモデル

• TJVシリーズ：多目的作業向け
• TLEシリーズ：エコノミーモデル
• Big T：大型高馬力シリーズ

価格帯：低〜中価格帯（新車200万円〜）

詳細スペック比較表

中型トラクター（50-70馬力クラス）比較

項目	クボタ MZ65	ヤンマー EG453	イセキ TJV655
馬力	65馬力	68馬力	65馬力
燃料タンク	110L	120L	100L
変速段数	32段	24段	24段
作業灯	LED標準装備	LED標準装備	ハロゲン（LED別売）
新車価格	約380万円	約320万円	約280万円
燃費	約8.5L/h	約8.0L/h	約9.0L/h

小型トラクター（20-30馬力クラス）比較

項目	クボタ B2650	ヤンマー SA324	イセキ TH263
馬力	26馬力	24馬力	26馬力
全長	2,830mm	2,950mm	2,900mm
最小回転半径	2.2m	2.4m	2.3m
新車価格	約200万円	約180万円	約150万円

用途別おすすめメーカー

大規模農業経営者向け

おすすめ：クボタ

• 高い耐久性と信頼性
• 自動運転などの最新技術
• 充実したアフターサポート

中規模農家向け

おすすめ：ヤンマー

• バランスの取れた性能
• 優秀な燃費性能
• 適正な価格設定

小規模・兼業農家向け

おすすめ：イセキ

• 圧倒的なコストパフォーマンス
• シンプルで使いやすい
• メンテナンス費用が安い

中古市場での評価

リセールバリューランキング

1位：クボタ

• 5年後の残存価格：約40-50%
• 海外需要も高く売却しやすい

2位：ヤンマー

• 5年後の残存価格：約35-45%
• エンジンの信頼性で評価が高い

3位：イセキ

• 5年後の残存価格：約30-40%
• 新車価格が安い分、下落率は大きい

購入時のチェックポイント

新車購入時の注意点

クボタの場合

• ディーラー選びが重要（サービス体制の差が大きい）
• オプション装備が高額になりがち
• 納期が長い場合がある（人気モデル）

ヤンマーの場合

• 燃費性能を重視する作業に最適
• パーツの互換性を事前確認
• 地域によってはサービス拠点が少ない

イセキの場合

• 基本装備の内容を詳しく確認
• 長期保証の有無をチェック
• オプション追加時の総額を計算

中古購入時のポイント

共通チェック項目

• エンジンの状態（異音、排気の色）
• 作業機の摩耗状況
• 油圧系統の動作確認
• メンテナンス記録の有無

アフターサービス比較

サービス体制

クボタ

• 全国約1,200店舗
• 24時間サポートデスク
• 純正部品の供給体制が充実

ヤンマー

• 全国約800店舗
• 建機サービスとの連携
• エンジン専門技術者が多数

イセキ

• 全国約600店舗
• 地域密着型サービス
• 部品価格が比較的安い

保証期間

メーカー	一般保証	エンジン保証	特別保証
クボタ	1年	2年	3年（一部機種）
ヤンマー	1年	2年	2年
イセキ	1年	2年	1年

まとめ：どのメーカーを選ぶべきか

総合評価

品質・技術力重視 → クボタ

• 最新技術と高い品質を求める方
• 大規模経営で長期使用を前提とする方
• アフターサービスを重視する方

バランス重視 → ヤンマー

• 燃費性能を重視する方
• 適正価格で高性能を求める方
• エンジンの信頼性を重視する方

コスト重視 → イセキ

• 初期費用を抑えたい方
• 基本的な作業ができれば十分な方
• メンテナンス費用を抑えたい方

最終的な選択のポイント

1. 予算の明確化：総予算（購入費+維持費）を設定
2. 用途の整理：主な作業内容と年間使用時間
3. 地域のサポート体制：最寄りのディーラーの評判確認
4. 将来性：事業拡大予定の有無

農機具は長期間使用する重要な投資です。各メーカーの特徴を理解し、ご自身の営農スタイルに最適な選択をすることが、効率的な農業経営につながります。

購入前には必ず実機の試乗や、既存ユーザーの評価を参考にして、後悔のない選択をしましょう。

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